於保老健センター、ウメダです。
さて今回は、当施設の話題というわけではないのですが、少し関連があることを。
先日、「令和元年度 介護白書」という書籍が出版されました。
「−老健施設の立場から−」という副題がついています。
”白書”と言うからには、政府機関か何かが作成した公の文書のようにも思えますが、実はこれ、一般の書籍です。
出版社はTAC出版、著者は全国老人保健施設協会です。
ということで、全国老人保健施設協会(全老健)が出版している一般の書籍となります。
一般の方々にとっては「高齢者を介護している施設なんてどこも一緒だろう」と思うかもしれませんが、施設種別によってできる事や得意なことが変わってきます。受けられるサービスもそれぞれ。
特別養護老人ホーム(特養)は、いわば終の棲家。自宅などで生活が困難になった要介護の高齢者が長期間生活する場となります。
通所サービスは、毎日自宅等から送迎自動車に乗ってきて、日中を過ごす施設です。比較的小規模な事業者が多いですね。
自宅で暮らす高齢者にとっては、他に、短期入所のサービス事業者や訪問系のサービス事業者も関わります。それら事業者と要介護高齢者とをつなぐ役目を担うのが、居宅介護支援事業所とそこで働く居宅ケアマネージャーです。
さて、そんな介護サービス事業者の中でも、一般的に知られておらず「よくわからない」といわれる事業種別が『介護老人保健施設』。通称『老健(ろうけん)』。
病院と家庭とをつなぐ中間施設として、医療とリハビリ、療養生活を提供する高齢者介護の施設です。
当施設、於保老健センターも名前に『老健』と入っている通り、事業種別は『介護老人保健施設』となります。
さて、今回出版された「介護白書」。見出しを挙げてみます。
T.介護老人保健施設と介護保険制度を取り巻く主な動き
序.求め続けた「中間施設」の理想像
1.老健施設の理念と役割・現状と展望
2.老健施設を取り巻く主な動き
3.介護人材を取り巻く現状
4.介護保険制度の持続的発展と老健施設
トピックス.介護保険制度の動向
U.全老健の現況
V.図で見る介護保険の状況
W.参考文献
内容は、3割が高齢社会や高齢者介護に関する事柄で、残りの7割は『介護老人保健施設』の説明です。
実は、この本を読んでも介護に関する全般的な知識は手に入りません。ほぼ「老健施設に関する広報誌」みたいなものですから。
なので、介護や介護保険、高齢社会のような全般的な知識を得たい方は、内閣府が発行する『高齢社会白書』の方が適しているかもしれません。
あるいは『国民の福祉と介護の動向』という書籍でしょうか。
逆に、一般の人が『介護老人保健施設』に関する知識を得ようとした場合には、もっとも有効な情報手段なのではないでしょうか。
さらに、それなりに近年の高齢者介護に関係する話題も載っています。
介護施設を探している方や介護施設で働きたいと思っている方など、「『介護老人保健施設』・『老健』について、いまいち理解できないなぁ」と感じているのでしたら、ぜひ手に取って一読する事をお勧めいたします。